【政務調査会ヒヤリング】外国人労働者等特別委員会「外国人材の活用について」

当会代表理事である小林光俊が令和2年(2020年)3月25日(水)、自由民主党政務調査会外国人労働者等特別委員会(委員長・片山さつき参議院議員)に出席し、外国人材の活用についてヒヤリングを受けた(於:自由民主党本部1階101号室)

小林は、学校法人敬心学園理事長・全国専修学校各種学校総連合会前会長・公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会前会長でもある。

答弁要旨は以下の通り。

▼ 現状説明

1.高度な職業教育機関としての私立専門学校の役割の再認識と地域活性化の観点で見た効率的な活用

全国に設置されている私立専門学校(2800校)は高度な職業教育機関であり、地域社会を支える人材教育の中核的機関としての役割を果している。
ユネスコ「高等教育の資格の承認に関するアジア太平洋地域規約」(通称:東京規約)でもその位置づけが明確化され、日本の「ポリテクニック」と言うべき専門学校の機能を活用することは経済効率の観点からも期待されている。

2.世界から注目される日本の高度な専門職教育

高度な専門職教育機関である私立の専門学校・専門職大学は、日本独自の進化を遂げた高度な職業教育機関として、また、職業人としての自覚を高める実践的な教育機関として、将来日本で就職を希望する外国人留学生からも注目を集めている。

3.高度・中堅中核人材候補であり、将来は各地域・職場での定住外国人の調整的な役割を担う外国人留学生

外国人留学生は、将来的に日本に残り、各職場での中核的な人材として活躍することがが期待されている。
現状でも専門的・技術的分野の労働者が32.9万人(19.8%)、その予備軍である資格外活動者(留学生アルバイト等)も37.3万人(22.5%)おり、既に社会を支える大きな役割を担っているが、今後、増加が予想される定住外国人(特定技能1号・技能実修生)の各地域・職場で管理・調整的な役割を担うことも期待されている。

◆ 外国人労働者(165.9万人、令和元年10月・厚生労働省)のうち、
 ① 専門的・技術的分野の労働者 32.9万人(19.8%)
  ➡【在留資格】技術・国際業務・人文知識、介護 他 ※ 大学・専門学校卒
 ② 資格外活動者(アルバイト等)37.3万人(22.5%)
  ➡【在留資格】留学

▼ 課題・要望

1.専門学校卒業生の就職可能分野の拡大

現在、大学卒業生は専攻分野に限定されない就職範囲が認められているが、専門学校卒業生は専攻分野に関連のある一部の仕事(介護等)しか職業選択が認められていない。
今後、専門士・高度専門士取得の卒業生には、大学卒業生と同等に就職可能範囲を認めていただきたい。

2.在留資格認定における国家資格取得者の積極的な活用

国家資格取得者は、国が定めた基準によって能力を評価・認定された者である。
国家資格取得者を外国人の就労認定資格としてより広範に認めていただきたい(美容師・理容師・調理師等)

3.新型コロナウイルス感染症の影響と今後

世界的脅威である新型コロナウイルス型感染症の影響は極めて深刻になっており、一日も早い正常化を願っている。
留学生受入れの観点では今後、海外からの留学生がこれまでのように安心して日本に来られるか、非常に心配している。
高等教育の予備教育機能を果す日本語学校は、入学者の極端な減少による深刻なダメージを受けている。
基盤の弱い日本語学校が機能を失うことは、1・2年後の高等教育機関(大学・専門学校等)への入学者の大幅な減少を招く事態であり、深刻である。
現在取り得る可能な支援をお願いしたい。

4.専門学校介護人材教育への支援

① 外国人が本国から留学する場合の入国審査期間の短縮
外国人留学生が本国から直接入学する場合、平均3箇月以上の審査期間を要する。現状では、年内に資料が整わねば、4月入学が難しい。
そこで、外国人留学生に係る入国審査期間の短縮をお願いしたい。
② 日本語教育への支援
日本語学校を卒業して介護福祉士養成校に入学する外国人留学生の日本語能力は、N3レベルが大半を占める。授業内容の理解を深め、延いては施設への就職を考慮すると、授業およびN2試験対策の補講が不可欠である。
そこで、外国人留学生に対する日本語補講への助成をお願いしたい。
③ 外国人留学生向け奨学金制度の新設・拡充
例えば、敬心学園に入学する外国人留学生の約8割は、施設保証人とのマッチングを行い、介護福祉士等修学資金貸付制度を利用して入学する。
そこで、日本学生支援機構奨学金制度の利用・適用等、新たな奨学金制度の創設・拡充をお願いしたい。
④ 外国人留学生の資格外活動の緩和または住居費支援
外国人留学生において、週28時間のアルバイト月収の相場は10万~12万円、そこから家賃を差し引けば5万~6万円で残りを賄う必要があり、食費を削って生活しているのが実情である。
そこで、学習に支障がない範囲での資格外活動の時間制限の緩和(33時間程度が妥当か)または住居費支援等の検討をお願いしたい。