【留学生教育研究会セミナー】コロナ禍と今後の留学生教育・外国人専門人材の展開

▼ プログラム概要

名 称 留学生教育研究会セミナー「日本語教育機関と高等教育機関との接続環境の変化と対応」
日 時 2023年11月16日(木)13:00~16:30
形 式 会場&WEB併用ハイブリッド開催
会 場 主婦会館プラザエフ (東京都千代田区六番町15/JR四ツ谷駅・麹町出口前)
対 象 専門学校・大学・日本語教育機関・関連企業団体関係者・一般 他
内 容
▼ 各講演の資料のダウンロードは コチラ
  • 開会挨拶
    多忠貴(公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 会長、学校法人電子学園 理事長)
  • 講演1「留学生交流政策をめぐる最近の動向について」
    髙木歩(文部科学省 高等教育局 参事官(国際担当)付留学生交流室 室長補佐)
  • 講演2「専門学校・各種学校における教育の現状と展望」
    中安史明(文部科学省 総合教育政策局 専修学校教育振興室 室長)
  • 講演3「日本語教育機関に関する制度改正」
    小林克嘉(文化庁 国語課 日本語教育推進室 室長)
  • シンポジウム「日本語教育機関と高等教育機関との接続環境の変化と対応」
    小林克嘉(文化庁 国語課 日本語教育推進室 室長)
    伊東祐郎(国際教養大学専門職大学院 日本語教育実践領域 特任教授)
    岡本比呂志(公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 副会長、一般社団法人外国人留学生高等教育協会 副代表理事)
  • 閉会挨拶
    岡田昭人(留学生教育学会 副会長、国立大学法人東京外国語大学 教授)
主 催 一般社団法人外国人留学生高等教育協会https://aheis.org/
共 催 公益社団法人東京都専修学校各種学校協会https://tsk.or.jp/
留学生教育学会https://jaise.site/
一般社団法人国際人流振興協会https://ipesa.org/
後 援 独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)、全国専修学校各種学校総連合会、公益財団法人日本国際教育支援協会、特定非営利活動法人JAFSA(国際教育交流協議会)、日本私立大学協会、一般社団法人日本私立大学連盟、公益社団法人日本介護福祉士養成施設協会、公益財団法人日本数学検定協会、公益社団法人全国調理師養成施設協会、公益社団法人北海道私立専修学校各種学校連合会、公益財団法人全国珠算学校連盟、公益社団法人広島県専修学校各種学校連盟、一般社団法人応用日本語教育協会、一般社団法人国際教育研究コンソーシアム、特定非営利活動法人若年層就業支援協会、一般社団法人全国製菓衛生師養成施設協会、一般社団法人職業教育研究開発推進機構、一般社団法人宮城県専修学校各種学校連合会、一般社団法人岡山県専修学校各種学校振興会、一般社団法人愛媛県専修学校各種学校連合会、一般社団法人福岡県専修学校各種学校協会、一般社団法人埼玉県専修学校各種学校協会、一般社団法人熊本県専修学校各種学校連合会、一般社団法人外国人雇用協議会、一般社団法人日本技術者連盟、一般社団法人ものづくり日本語検定協会、一般社団法人外国人材活躍推進協議会、東京都行政書士会、一般社団法人愛知県専修学校各種学校連合会、全国工業専門学校協会、一般社団法人全国動物教育協会、一般社団法人岩手県専修学校各種学校連合会、一般社団法人香川県専修学校各種学校連合会、一般社団法人東京都服飾学校協会、一般社団法人全国外国語教育振興会、一般社団法人日本ソーシャルワーク教育学校連盟、特定非営利活動法人日本語教育研究所 他
問合せ 一般社団法人外国人留学生高等教育協会 事務局
〒151-0051 東京都渋谷区千駄ヶ谷4-5-15-203
MAIL: info@aheis.org TEL: 03-6804-3889 FAX: 03-6455-5387

▼ 講演レポート

 令和5年(2023年)11月16日、主婦会館プラザエフ(東京都千代田区)において、一般社団法人外国人留学生高等教育協会(以下「外留協」)主催、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会(以下「東専各」)留学生教育学会(JAISE)・一般社団法人国際人流振興協会(IPESA)共催、独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)・全国専修学校各種学校総連合会を含む40超の機関の後援により、留学生教育研究会ウェビナー「日本語教育機関と高等教育機関との接続環境の変化と対応」が開催された。
 本会は、会場とオンラインのハイブリッド形式で行われ、3つの講演とシンポジウムを展開し、計165人の専門学校・大学・日本語学校関係者等が参加・聴講した。

開会挨拶

 各講演に先立ち、多忠貴氏(東専各会長)開会挨拶を述べた(多氏が体調不良で欠席したため、東専各事務局が挨拶文を代読した)
 多氏はそこで、外国人留学生40万人の政府目標、外国人留学生キャリア形成促進プログラムの制定、日本語教育機関認定法の創設等、留学生を巡る最近の動向を一つ一つ振り返った上で、「留学生をキーワードにして日本語教育機関と高等教育機関を取り巻く環境が大きく変わりゆく中、本セミナーでは日本と外国人留学生が真のイコールパートナーになるために我々は何をすべきかという視点を持って学んでほしい」と喚び掛けた。

講演1: 留学生40万人計画と文部科学省の取組


文部科学省高等教育局参事官(国際担当)
留学生交流室室長補佐 髙木歩氏

 最初に、髙木歩氏(文部科学省高等教育局参事官(国際担当)付留学生交流室室長補佐)「留学生交流政策をめぐる最近の動向について」と題して講演した。
 髙木氏はそこで、政府の教育未来創造会議が今般取り纏めた第二次提言「未来を創造する若者の留学促進イニシアティブ」で、外国人留学生の受入れをコロナ禍前の31.8万人から2033年迄に40万人に増加すること、このうち専門学校・大学・日本語学校等で38万人を受け入れること等の詳細を改めて説明した。その上で、「文部科学省も留学生交流を戦略的に推進する」とし、その主な方向性や支援事業を説明した。特に「日本留学促進のための海外ネットワーク機能強化事業」では、優秀な理工系人材が輩出するインドや、日本との友好協力50周年を迎えるASEANに重点的に取り組むこと、また日本学生支援機構のサポート体制で政策提言を行う部署を新設すること等を報告した。

講演2: 留学生の国内就職率の更なる向上を


文部科学省 総合教育政策局 専修学校教育振興室
室長 中安史明氏

 次に、中安史明氏(文部科学省総合教育政策局専修学校教育振興室室長)「専修学校・各種学校における教育の現状と展望」と題して講演した。
中安氏はそこで、職業実践専門課程の推進や修学支援制度の拡充、リスキリング・リカレント教育の充実等、専修学校を巡る当面の主な課題を広く取り上げて説明した他、専門学校における留学生の現状や今後にも言及した。その際、「留学生30万人計画」を達成した令和元年度の統計で高等教育機関の留学生(228403人)のうち専門学校が占める割合が約34%(78844人)に達していること、このうち7割程度が卒業後に日本での就職を希望する一方で、実際に日本で就職した者は4割程度に留まることが指摘された。新たな「留学生40万人計画」では、「卒業後の国内就職率を48%から60%に」という目標値が設定されている。中安氏は、この実現に向けて専門学校に制度化された「外国人留学生キャリア形成促進プログラム」について、創設の経緯や認定要件等の概要を説明した。さらに、優秀な留学生を獲得する環境整備の一環としてOECDの国際標準教育分類(ISCED)における高度専門士の位置付けが学士同等に見直されたこと等も報告した。

講演3: 日本語教育機関認定法を解説


文化庁 国語課 日本語教育推進室
室長 小林克嘉氏

 そして、令和6年4月から日本語教育機関認定法(「日本語教育の適正かつ確実な実施を図るための日本語教育機関の認定等に関する法」)が施行されることを受け、小林克嘉氏(文化庁国語課日本語教育推進室室長)「日本語教育機関に関する制度改正」と題して講演した。
小林市はそこで、予て日本語教育機関および日本語教師を巡る課題として「教育の質の確保のための仕組が不充分」「専門性を有する日本語教師の質的・量的確保が不充分」という指摘があることを調査結果から示した上で、当該制度の創設の経緯や法律の概要を説明した。教育の質の確保のために認定日本語教育機関(一定の要件を充した日本語教育機関を文部科学大臣が認定する制度)、日本語教師の質・量を共に確保するべく国家資格「登録日本語教員」を創設する。講演では、これに関連して施行迄の今後のスケジュール案や日本語教員の資格制度の概念図が示された。

シンポジウム: 制度スタートまでの細部を確認


文化庁 国語課 日本語教育推進室
室長 小林克嘉氏

国際教養大学専門職大学院 日本語教育実践領域
特任教授 伊東祐郎氏

公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 副会長
一般社団法人外国人留学生高等教育協会 副代表理事
岡本比呂志氏

 最後に、本セミナーの統一テーマである「日本語教育機関と高等教育機関との接続環境の変化と対応」と題してシンポジウムが行われた。
パネラーに小林克嘉氏(文化庁国語課日本語教育推進室室長)伊東祐郎氏(国際教養大学専門職大学院日本語教育実践領域特任教授)を迎え、パネラー兼司会進行役を岡本比呂志氏(東専各副会長・外留協副代表理事)が務めた。
 意見交換は主に、認定日本語教育機関と登録日本語教員に関する細部の疑問点を小林氏に質問する形で進行した。教育機関の申請等は文部科学省総合教育政策局が所管して文部科学大臣が認定すること、専修学校や大学の場合は基本的に留学生別科で日本語教育を行う課程が対象になること等が改めて周知された。また、現時点で日本語教員として勤務する者や民間資格を持つ者等はに国家資格取得に向けて複数のルートがあり、移行措置期間は施行から5年であること等も明かになった。
 伊東氏は今般の制度化について、「日本語教育機関や日本語教師の質がしっかりと担保された」と評価する一方で、「日本語教育は国内経済やグローバル化と密接に結び付いている。今後は他の高等教育機関との整合性をはじめ、国の助成や技能実習生の教育等も含め、国策の中で日本語教育を捉えてゆく必要があるのでないか」と指摘した。
 小林氏はこれに対し、「日本語教員は今後、ニーズもやりがいも高まってゆく分野である。制度化に際して本日は多くの宿題を頂いたが、しっかりと対応して皆さんの期待に応えてゆきたい」と述べた。
 岡本氏はここまでの話を受けて最後に、外留協の理念や会員構成等を説明した上で、「本日は学校種を超えた実りある研究会を開催できた。今後も留学生全体の政策提言に繋がる活動を展開してゆきたい」と締め括った。

閉会挨拶


留学生教育学会 副会長 岡田昭人氏

 本会の締め括りとして、岡田昭人氏(留学生教育学会副会長、国立大学法人東京外国語大学教授)閉会挨拶を行った。
 岡田氏はそこで、本日の内容を評価した上で、留学生教育学会への参加も喚び掛けた後、「全ての学校がオールジャパンの体制で、留学生に笑顔をもたらすような教育環境づくりを共に進めてゆこう」とエールを送った。