【外国人材シンポジウム】留学生受入れと外国人人材の活用

▼ プログラム概要

名 称 文部科学省 2019年度 専修学校グローバル化対応支援事業 成果報告会
テーマ 留学生受入れと外国人人材の活用
日 時 2020年2月12日(水)13:30~16:20
場 所 アルカディア市ヶ谷 私学会館 6階
対 象 専門学校関係者等
内 容
開会挨拶
(13:30~13:45)
山中祥弘(公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 会長)
講 演 1
(13:45~14:45)
「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」
伊藤純史(出入国管理庁在留管理支援部在留管理課 調整官)
講 演 2
(14:45~15:15)
「外国人材への期待と課題」
杉崎友則(東京商工会議所産業政策第二部 副部長)
講 演 3
(15:20~15:50)
「宿泊分野における特定技能外国人の受入れについて」
日下部勝広(国土交通省観光庁観光産業課観光人材政策室 課長補佐)
講 演 4
(15:50~16:20)
「外国人材育成と高等教育機関の役割」
岡本比呂志(一般社団法人外国人留学生高等教育協会 副代表理事、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会 副会長、東京都におけるグローバル化対応推進支援事業実行委員長)
主 催 公益社団法人東京都専修学校各種学校協会
連 携 一般社団法人外国人留学生高等教育協会
後 援 一般社団法人全国各種学校日本語教育協会、一般社団法人全日本学校法人日本語教育協議会、一般社団法人国際人流振興協会、全国専門学校日本語教育協会、他

▼ 講演レポート

国家戦略として高度専門人材の留学生受入れの活用拡大を!

 令和2年(2020年)2月12日、私学会館(アルカディア市ヶ谷)において、公益社団法人東京都専修学校各種学校協会(以下「東専各」)主催(一般社団法人外国人留学生高等教育協会(以下「外留協」)連携)による外国人材シンポジウム「留学生受入れと外国人人材の活用」が開催された。
これは、東専各が受託した文部科学省 2019年度 専修学校グローバル化対応支援事業の成果報告会として企画されたものである。
 シンポジウムでは、昨年4月の出入国管理法(以下「入管法」)改正によって新設された在留資格「特定技能」制度を巡る高度専門人材の受入れについて、関係省庁・東京商工会議所担当者・教育関係者が講演し、制度説明や政策提言を行った。専門学校関係者等、約140人が参加・聴講した。

開会挨拶


東専各会長 山中祥弘氏

 講演に先立ち、山中祥弘氏(東専各会長)開会挨拶を述べた。
 山中氏はそこで、近年の留学生における専門学校への進学の増加は専門職技能を習得したいというニーズが高まっていることの顕れと捉えた上で、「専門学校側の受入れ体制も重要であるが、就労という出口の確保こそ重要であり、その可能性を開いてゆくことが今後の留学生確保に繋がる」と語り、企業における外国人材活用拡大への期待を表明した。

【講演1】新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組


出入国管理庁在留管理支援部在留管理課調整官
伊藤純史氏

 最初に、伊藤純史氏(出入国管理庁在留管理支援部在留管理課調整官)「新たな外国人材の受入れ及び共生社会実現に向けた取組」と題する講演を行った。
 伊藤氏は、在留資格「特定技能」制度とその運用状況等について詳説した上で、同制度の新設には深刻な人手不足への対応という目的があったと認めながら、「現実には、外国人労働者のうち、就労目的の在留者は少なく、留学や技能実習での在留者が多かった」と指摘した。
 しかし、同制度は、「一部の報道にあるような単純労働者の解禁でなく、あくまで専門的・技術的分野のカテゴリーの1つとして、一定の経験や試験の実績を以て判断して就労資格を付与するもの」であり、要は「専門的・技術的分野のカテゴリーが少し広がったということ」である(伊藤氏)
 そして、同制度の現在の運用状況について伊藤氏は、「許可数は2月7日現在、在留資格認定証明書交付が1882件、(主に「技能実習」からの)在留資格変更が1446件で、いづれも増加傾向」、試験について「今年度中に14分野全てで実施という政府内申合せがある。外食業・宿泊業等、技能実習での受入れがなく試験ルートを積極的に取らない限り受入れに結び付かない分野もあるため、実施に向けて前向きに準備を進めている状況」と説明した。
 質疑応答では、「同制度では宿泊分野が認められているが、ホテルへの就職は従来の「技術・人文知識・国際業務」で受け入れるのか、あるいは基本的に「特定技能」で受け入れるのか」(ビジネス系専門学校関係者)との質問に対し、伊藤氏は「留学生の就職時の在留資格は従来通り「技術・人文知識・国際業務」が基本であり、分野によって「特定技能」が優先されるということはない。むしろ、事務系の業務であれば「技術・人文知識・国際業務」、現業的な業務であれば「特定技能」と理解してもらえれば判り易いのでないか」と回答した。

【講演2】外国人材への期待と課題


東京商工会議所産業政策第二部副部長
杉崎友則氏

 次に、杉崎友則氏(東京商工会議所産業政策第二部副部長)「外国人材への期待と課題」と題する講演を行った。
 杉崎氏はそこで、東商会員企業の人手不足ついて、「ほぼ毎年5%ずつ増え、2019年春時点で3社に2社が人手不足であり、52.1%の企業が3年後は更に深刻になると答えている」と述べた。
 そして、外国人受入れニーズについて、「深刻な人手不足の中で外国人材に対する期待と関心が市場で高まっている。2018年が42.7%、2019年が50.8%で、1年で8ポイントも増加した。これは、昨年の入管法改正が国会で議論された影響も大きいのでないか」と語った。
 さらに、「商工会議所は、学校関係者と企業の橋渡し役として、留学生向けに合同会社説明会や留学生-企業の情報交換・インターンシップ等を行っている。また、外国人材受入れに関する政府への提言・要望活動にも取り組み、2018年4月に在留資格「中間技能人材」を提案した。それが昨年秋の「特定技能」の創設に活かされている」と述べた。
 その上で、昨年10月、「特定技能」14分野に林業・商業・小売関連等の拡大や大都市圏への偏在防止策を政府に要望したとのことである。

【講演3】宿泊分野における特定技能外国人の受入れについて

 次に、日下部勝広氏(国土交通省観光庁観光産業課観光人材政策室課長補佐)「宿泊分野における特定技能外国人の受入れについて」と題する講演を行った。
 日下部氏はそこで、「宿泊業は、様々な形で外国人材を活用してきたが、在留資格「特定技能」14分野の1つとして「宿泊」が認められた。フロント、企画・広報、接客、レストランサービス等、所謂マルチタスクを担う人材を受け入れたい」と語った。
 また、「技能測定試験は既に、国内で3回、ミャンマーでも昨年10月に実施され、合格者は計1100人を超える。5年間で22000人を上限にして受け入れる予定」であり、「観光庁は、資格分野として留学生に選んでもらえるよう、各種セミナーや交流会を積極的に開催し、求人情報も各業界団体に集約して掲載している」と、外国人を前向きに受け入れる方針を表明した。

【講演4】外国人材育成と高等教育機関の役割


一般社団法人外国人留学生高等教育協会副代表
公益社団法人東京都専修学校各種学校協会副会長
岡本比呂志氏

 最後に、岡本比呂志氏(一般社団法人外国人留学生高等教育協会副代表・公益社団法人東京都専修学校各種学校協会副会長)「外国人材育成と高等教育機関の役割」と題する講演を行った。
 岡本氏はそこで、日本の国力がこの数十年で衰退している状況を指摘し、今後の国力維持の可能性について具体的な数値を挙げて分析した。
 その上で、国力維持には科学技術振興・ビジネス創造・人口問題解決やこれに資する人材の教育に関する国家戦略が重要と指摘し、「専門学校・大学で学ぶ留学生を、新しい高付加価値産業を担う高度専門人材として育成するための成長戦略こそ必要」と強調した。
 また、ポスト30万人計画について、「量だけでなく質も含む目標が重要で、例えば在留資格「技術・人文知識・国際業務」の専門職人材50万人受入れを目標にすれば、留学生も50万人必要になり、それに伴って大学・専門学校、加えて日本語学校の質的・量的な振興が求められる」とした上で、「ラグビーのワールドカップで日本人と外国人が協力して素晴らしい“ワンチーム”を作ったように、留学生をしっかりと受け入れ、その在留・就職・進学を国も積極的に支援してゆく必要がある」と述べた。
 そして、「この数年、大学・専門学校共に卒業後の留学生の就職は増えているが、まだ少ない。大学は就職者をもっと増やしてもよいのでないか」と提言した。

▼ アンケート結果

シンポジウム当日、次の項目にてアンケートを実施した(実施:東専各、構成・編集:外留協)

1.各講演の内容に対する感想・意見等
2.在留資格「特定技能」測定試験合格者の有無と数
3.在留資格「特定技能」に対する質問・意見等

1.各講演の内容に対する感想・意見等

(一部抜粋・編集)
  • 非常に勉強になった。
  • 各種データに基づいて丁寧な説明であった。
  • 留学生の今後の受入れを考えている。
  • 外国人留学生の就職支援についてヒントを得た。
  • もっと海外からの受入れや海外で学ぶ姿勢が必要である。
  • 技術・人文知識・国際業務(以下「技人国」)への在留資格をどんどん進めていただきたい。
  • 政策・経済の方向性を理解した上で日本語学校の目指すべきものが何かを考え、一学校としての方針を決める必要があると感じた。
  • 在留管理との関係で疑問に思う部分があるため、法令等を守れるような人材であるか、しっかりと確認できる仕組が必要と感じた。
  • 特定技能について詳しく知れてよかった。まだ不安定な留学生の今後について、よい方向に進んでほしいと思った。
  • 入管のビザについて最新情報を知れて勉強になった。
  • 専門学校にも、高度日本語能力を持ちながら専門性等で就職が難しいケースもある。専門士でも特定46号が適用されるように働きかけてほしい。
  • 群馬県の企業は、外国人人材に興味はあるが手を出せないというのが多い。いずれ東京都と同様になってゆくと思われるため、企業の方は早く気付いてほしい。
  • 講演1で、特定技能1号と専門学校での資格者の区別の考え方の一端を知ることができた。今後、安易な就労資格という位置付けにならないように願いたい。
  • 特定技能に関してまだ分からない事も多く、合格しても使えていない学生が多いのが残念。今後、技人国で難しいか他分野に興味のある学生には、積極的に紹介する予定。
  • 留学生支援に関する現状を知ることができた。留学生を受け入れる企業へのサポートやシステムがあれば就職し易いのでないかと感じた。学校としても取り組むべき課題と考える。

2.在留資格「特定技能」測定試験合格者の有無と数

(学校関係者対象)
① 在留資格「特定技能」測定試験合格者の有無
11
18
未確認
② 在留資格「特定技能」測定試験合格者の数
合格者数 回答者数 合格分野
宿泊/外食/飲食料品製造/空港グランドハンドリング/ビルクリーニング
2~3 12 宿泊/外食/飲食/飲食料品製造
4~5 宿泊/外食/航空
6~10 宿泊/外食/飲食/ホテル/グランドハンドリング
11以上 宿泊/外食/介護

3.在留資格「特定技能」に対する質問・意見等

(一部抜粋・編集)
  • 宿泊・外食の試験日程を知りたい。
  • もっと柔軟な行政組織の運営を希望する。
  • 建設関連における技人国と特定技能2号の差別化は何かあるか。
  • 就職活動継続の為の特定活動ビザ交付措置があるが、特定技能試験受験の為の同様措置も想定されるか。
  • 特定技能1号からの能力・実績によって技人国への在留資格の変更は可能か。また、どの程度の能力・実績が必要と考えるか。
  • 特定技能から技人国へ変更することは可能か。また、許可が出る可能性は低いか。許可が出る為に何が必要か。
  • 技人国と特定技能のレベル設定を明確にできないか。特に航空分野は何も決まっていないような気がする。航空整備工は技人国扱いできるか。
  • 特定技能での資格変更許可申請の際、社会保険に加入している会社であっても本人の健康保険料納付証明書や国民年金の納付証明書の提出が必要か。
  • 日本語教育、留学生の進路、特定技能の資格のあり方、各々の役割が今は入り混じっているように思えるため、整理してゆく展望を知りたい。
  • 特定技能者の技域偏在を避けるという話があるが、地域による賃金格差も大きい中、どう行うかに関心がある。また、入管としてそこに何らかの対応をすることはあるか。
  • 学校を退学・除籍になった学生も特定技能テスト受験が可能になったが、「原則ビザは出ない」と言って欲しい。学校教育・指導が結果としてビザにつながるのが教育的と感じる。
  • 特定技能1号から2号を申請するには技能水準試験の合格が条件であることは承知しているが、1号での経験年数に条件はあるか。例えば、1号で1年以内に試験に合格すれば2号への申請は可能か。
  • ホテルについて学んだ専門学校生が技人国に申請して却下になった場合、同一企業(ホテル・旅館等)・同一留学生において再度、特定技能の申請は可能か。申請において特定技能の方が通り易いという可能性はあるか。
  • ホテル内のテナントとしてあるレストランや料亭で就労した場合、特定技能は「飲食」か「宿泊」か。
  • ホテルのレストランで就労するべく「宿泊」に合格したが不許可、テナントのレストラン就労で許可が下りたと報じられているが、実際はどうか。
  • 既に技人国で採用実績のあるホテルは特定技能1号(5年縛り)を選ばないのでないか。住み分けはどうするか。
  • 特定技能1号の家族帯同について、例えば、在日期間(留学ビザ)中に籍を入れて同居する留学生が1号のテストに合格しても、不可になるか。
  • 出入国在留管理庁は、宿泊機関(特にホテル)に就職した留学生がフロント業務以外に配属された場合、変更が許可されないという現状を改善する予定はないか。
  • ベトナムとの二国間協定の中に例示として「2年間のコースを修了していること」という記載があるが、あくまで例示であり、就労していない学生についてもビザ変更は全く問題ないという理解でよいか。ベトナム大使館からの承認が必要になったり、その後トラブルになったりすることはないか。
  • 二国間協定によって「課程を修了」との要件がベトナム人留学生にのみ課されているが、東京入管での実際の対応(大使館への確認等)は現状どうなっており、今後どう変更する予定か(他団体のセミナーで、現状で「課程を修了」の要件は考慮していない旨を入管担当者が話したと聞いた為)
  • 1年半コース(10月期)に入学した留学生は、卒業後約6か月の在留期限までの残余期間がある。これまでは進学しない学生に卒業後の速やかな帰国を促していたが、これからは特定技能に資格変更したいと申し出る学生を学校が積極的に後押しし、在留期限いっぱいまでの日本在留を認めてもよいか。
  • 特定技能在留外国人数で飲食料品製造業分野の人数が最も多かったが、具体的な就労先等を知りたい。特定技能1号からの就労人数は何名か、技能実習からの就労が殆どかを知りたい。肌感覚として飲食料品製造業分野の就労先は全くないように思える。愛知・大阪・埼玉が多いのは工場(製菓系)か。
  • 宿泊業について、フロント業務は技人国、現場・料飲スタッフは特定技能との話であったが、特定技能にもフロント業務(広報・企画等も含む)が含まれている。技人国と特定技能で何か違いがあるか(専門性・日本語能力等)
  • 宿泊分野の中に「フロント」「企画」等が記載されているが、以前に別のセミナーでは配属がフロント・企画等であれば技人国、そうでなければ特定技能でないと許可されないと聞いた。ホテル・旅館に料飲分野は絶対に必要で、企業は5年でいなくなる人材(特定技能)であれば採用しないとの声も聞いている。技人国と特定技能の住み分けはどうなっているか。
  • 日本語学校を卒業していなくても(在学中でも)特定技能への在留資格変臆は可能か。可能である場合、学校側からの証明書(出席・成績等)の提出義務はあるか。
  • 卒業後(在学中も)特定技能に資格変更を希望した場合、許可・不許可の情報は学校に通知されるか。通知がなく不許可であった場合、不法滞在につながるのでないかという恐れがある。
  • 支援機関や受入れ機関のチェック体制はどうなっているか。
  • 特定技能から留学への資格変更は可能か(例:日本語学校 特定技能 大学 等)